痛みの少ない麻酔について
とし歯科クリニックの髙野です。
今日は当院で取り組んでいる痛みの少ない麻酔について書きます。
歯医者が苦手な方の中には麻酔が嫌だと訴えられる方が多くいらっしゃいます。
歯科治療において麻酔はとても重要です。虫歯が非常に小さい場合やご年配の方の治療には麻酔を使わないこともあります。
虫歯が小さい時には切削する範囲が痛みを感じる神経と距離があり、なんともないこともあります。
また、ご年配の方の歯は経年的変化により神経の入っている空洞が狭くなっており、痛みを感じにくくなっていることが多いです。
これらの場合もありますが、深い虫歯や神経治療、神経を残した状態で被せの治療を行う場合には麻酔は必須になります。
これらの治療を行う際に麻酔が無ければ治療が「拷問」になってしまいます。
麻酔をする際の痛みを完全に無くすことはできませんが、痛みを少なくするコツはあります。
1 表面麻酔をしっかり効かせる
表面麻酔(ゼリーのようなお薬)を綿に含ませ、麻酔する部位に置いてしばらく待ちます。
表面麻酔は文字通り表面のみに弱い麻酔作用を引き起こし、針が入る際の痛みを軽減してくれます。
お子さまの乳歯の抜歯をする際にこれを用いることもあります。
2 小さい針を用いる
麻酔する針が歯茎を通るときに痛点(痛みを感じる場所)に触れるので痛みが生じるのですが、細い針を用いることでより少ない痛点のみを触れることで痛みの発生を少なくすることになります。
一般的な針は30Gという太さなのですが、当院では33G(数字が大きいほど細い)の針を使っています。
3 針を入れるときは頬や唇をしっかり引っ張る
針を入れる際は、粘膜をピーンと張った状態で入れると痛みが少ないです。
指やミラーでしっかりお口を引っ張って針を入れていきます。
4 痛みが生じにくい場所から麻酔していく
体の中に麻酔薬を入れていく際に、組織が密集してない部位に入れるほうが、痛点を刺激しにくく痛みが生じにくいです。
まずは、この部位に麻酔を効かせるようにします。
逆に、組織が密集している場所は痛みが生じやすい場所です。
痛みが生じやすい場所は、処置内容と麻酔の効き具合に応じて、先の痛みの少ない麻酔の後に行います。
5 ゆっくりかつ一定速度で麻酔を入れていく
麻酔が体に入るときの速度が速いと、痛点を多く刺激するので痛みが生じやすくなります。
また、麻酔を入れる速度が変化することも痛みを生じる原因になります。
このため、ゆっくりと一定の速度で注入することで痛みが生じにくくなります。
この、「ゆっくりかつ一定」の注射を達成するために当院では電動麻酔器を使用してます。
6 使用する麻酔は体温に近い温度に温めておく
冷たい麻酔液が注射されると温度差のせいで痛みが出るので、体温に近い温度に加温した麻酔液を使用しています。
当院ではこれらに注意してを麻酔を行っていて、功を奏していて好評いただいています。
話は変わりますが、強い痛みがある場合や歯茎が腫れている場合などは、麻酔が効きにくいです。
これらの場合は強い炎症が生じており、炎症がある場所では麻酔の成分が分解され、効きにくくなります。
無理に処置を行うことで一時的に痛みや腫れが、より強く出ることもあります。
これらの理由から、当院では痛みを訴えて来院される患者さまには根本的な治療ではなく、痛みが和らぐ対症療法を行って痛みや腫れが治まってから本格的な治療を行うことがあります。