睡眠時無呼吸症候群の治療について
こんにちは。とし歯科クリニックの髙野です。
本日は当院が力を入れている、睡眠時無呼吸症候群について書きます。
【寝ているときに日常的にイビキをかいていませんか?】
皆さんは一緒に暮らす家族が寝ているとき、イビキの音を聞いたことがあると思います。
イビキをかいていると熟睡してるんだなと思われるかもしれませんが、実はそうではないのです。
イビキをかいている時は空気の通り道である気道が狭くなっており、呼吸が上手くできていないのです。
狭くなった喉の周りの粘膜が、空気によって振動することで音を出しているのです。
疲れているときや、お酒を飲んだ後などは喉の周りの筋肉が緩みやすくイビキをかきやすいのですが、日常的にイビキをかく場合は要注意です。
自分がイビキをかいているかは自分ではわかりにくいので、ご家族の方に聞いてみるとよいと思います。
【どんな人がなりやすいの?】
潜在患者(自分で気が付いておらず、治療していない人)は500万人と推定されているにもかかわらず、実際に治療を行われている方は僅か10%です。
つまり、多くの方がこの病気に気が付いていないのです。
男女比は2:1で男性の方が多いです。
男性は40代から50代の働き盛りの年代に多く、女性は閉経後に生じやすいです。
西洋人は頭の形が前後に長く、奥行きのある骨格をしています。その結果、顎も大きく、気道を圧迫しにくく睡眠時無呼吸症候群を発症しにくい骨格と言われています。
このため西洋人では、肥満による喉回りの肉の付き過ぎによって生じる場合が多いと言われています。
これに対して日本人は頭の形が前後に短く、奥行きのない骨格をしていてます。
顎の大きさは小さく、前後的距離が短いため、気道を圧迫しやすく、骨格的に睡眠時無呼吸症候群を発症しやすい骨格をしてます。
このため、肥満に見えない方でも重度の睡眠時無呼吸症候群であることも多くあります。
特に下顎が後ろに下がっているような小顎症(アンガールズの山根さんやバナナマンの日村さんのような顔貌)の方は下顎の成長が悪く、下顎が後ろに押し込まれていることで、気道を圧迫している可能性が高いです。
このような方は下顎の成長が横方向にも悪いため、狭窄歯列(横から歯並びをギュッと潰したような歯並び)になっていることが多いです。
さらに、首が短く見えるような方も注意が必要です。
【どんな症状があるの?】
寝ているときに呼吸が上手くできず、日常生活において以下のような症状が出ます。
・イビキ
・昼間の強烈な眠気
・起床時の頭痛
・頻繁な夜尿
大音量で続けられるイビキは、毎日就寝を共にする家族からすればとても大きな問題です。
また、体を休める就寝時に息こらえをしてる状態になり、全身に酸素が行き渡らないため、体が休まりません。
このことによって多くの全身疾患を引き起こしやすくなります。
以下の数字は、健常者と比べてそれぞれの疾患になるリスクを表しています。
・高血圧 2倍
・糖尿病 2~3倍
・脳卒中 4倍
・心筋梗塞 2~3倍
・不整脈 2~4倍
いつまでも高血圧や糖尿病の値が良くならない方は、一度睡眠時無呼吸症候群を疑ってみるとよいかもしれません。
糖尿病は歯周病と深く関係がありますので、歯科で合わせて治療を行うと効果が出やすいです。
最近では、新型コロナウィルスに感染しやすさが健常者と比べて8倍という報告も出てきました。
「睡眠時無呼吸症候群」の患者は要注意!?新型コロナウイルス感染症の罹患リスクが8倍高い研究結果 | フィリップス (philips.co.jp)
【まとめ】
今日は睡眠時無呼吸症候群が稀な病気ではない。
日本人は肥満だけでなく、骨格的になりやすい。
狭窄歯列、首の短い人も要注意。
新型コロナウィルスや多くの全身疾患と関係がある。
大人の病気かと思われているかもしれませんが、子どもにも起こる可能性があります。
次回はこのことや、診断、治療方法について書きます。