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睡眠時無呼吸症候群のリスク判定、診断、治療について

こんにちは、とし歯科クリニックの髙野です。

前回はイビキの起こる原因、睡眠時無呼吸症候群の生じやすい時期や年齢、全身の病気とのつながりについて書きました。

今日はリスク判定、診断、小児における影響について書きます。

 

【リスク判定、診断】

問診、顔貌やお口の中の観察を行い、睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合は、当院のCTレントゲンによる気道のスクリーニングをお勧めしています。

これによって、気道(空気の通り道)を可視化して、詰まりやすそうな場所やリスクを確認することができます

睡眠時無呼吸症候群の患者さんの気道

気道が狭くなっている部位は赤色、黄色になっており、明確に狭窄部位を確認することができます

気道に問題のない患者さんの気道

気道の大きさに問題のない患者さんでは、全体が緑色で表示され、気道の太さに問題が無いことがわかります。

この検査が行える歯科医院は岡山市では当院のみになります。

 

これをもとに、希望されれば、提携している医科へご紹介させていただきます。

医科ではまず、簡易検査を行います。

使用するメーカーによって異なりますが、指や鼻に小さな装置をつけて一晩眠ってもらうだけです。

これによってAHI(一時間あたりに呼吸が止まった、低下した回数)で重症度を評価します。

 

AHIが5以下     正常

AHIが6以上15未満  軽症

AHIが16以上30未満  中程度

AHIが30以上     重症

 

簡易検査でも原因がはっきりしない場合には、一泊入院で行う精密検査を行うことがあります。

 

【小児における睡眠時無呼吸症候群】

日常生活において、お子さまに以下のような特徴はないでしょうか

・いつも口が開いている

・口呼吸をしている

・ご飯を食べるのが遅い

・日常的にイビキをかく

・夜尿が多い

・風邪をひきやすい

 

これらの症状が複数当てはまる場合は、睡眠時無呼吸症候群である可能性があります。

子どもが十分な睡眠がとれないと、成長ホルモンが出にくくなります。

その結果、成長の遅れや、朝起きたときの疲労感につながります。

最近では発達障害の一種であるADHDにも睡眠時無呼吸症候群が関与していることが示唆されてきました。

小児の睡眠時無呼吸症候群で多い原因が、アデノイドや扁桃腺の肥大で、90%を占めます。

アデノイドや扁桃腺はリンパ組織と言って、体の中に入ってくる汚れやばい菌を排除してくれる大切な組織です。

大人より子どもの頃の方が大きいのですが、なんらかの原因によって異常増殖することで、気道を閉塞してしますことがあります。

閉塞した気道では呼吸がしづらく、口呼吸やイビキの原因になります。

これらの症状が疑われる場合も、先ほどのCT撮影で特徴的な画像を示します。

アデノイド増殖による気道の閉塞      ボールが乗るように気道がへこむ

アレルギーが原因で睡眠時無呼吸が生じている場合は、小児科や耳鼻科で抗アレルギー薬の内服、アレルギーの原因がわかる場合は舌下免疫療法などを行うこともあります。

 

お子さまにCT撮影を行う際に、X線被ばく量についてご心配されることがあるかもしれません。

インプラントや歯周病などを正しく評価する場合には、ある程度の量のX線が必要にはなりますが、気道を観察する際には少ないX線で十分です。

当院のCT撮影機は「低被ばくモード」があり、一般的なレントゲン撮影とほぼ同じ被ばく線量でCT撮影をすることが可能です

 

【まとめ】

☆CT撮影によって気道を可視化して見ることができ、睡眠時無呼吸症候群のリスク判定ができる

☆寝るときに簡単な装置をつけることで、無呼吸、低呼吸の程度を評価できる

☆睡眠時無呼吸症候群は大人だけの病気ではなく、子どもにも生じる可能性があり、その子供が本来持っている成長を阻害する可能性がある

☆低被ばくモードで撮影することで、大人も子供も通常のレントゲンと同程度の被ばく量でCTを撮影することができる。

 

次回は治療方法について書きます。